新作フォント「ビースト明朝」リリースしました!
ざっくり言うと…
異世界小説をイメージした「かな書体」です。
縦書きと横書きで字形が異なるのも変わっている点です。
フリーフォント版も文字数は少ないですが、ありますので使ってみて下さい。
縦書きと横書きで字形が異なるとは、どういうこと?と感じると思うので説明。
上の画像で言うと「す」とか「バ」とか見ると、縦書きと横書きで文字の形が違うのがわかると思います。縦書きの文字は「縦の流れ」を、横書きは「横の流れ」を意識しています。また縦書きは本文向きのスタンダードな字形で、横書きは見出しにも使えそうなインパクトが強いデザインになっています。
私は、昔の写植メーカーの写研でいう「スーシャ」など横書き明朝体に興味があります。昔作った「うつくし明朝体」も横書き明朝体を想い描いて作ったフォントですが、今回はその続編といった感じです。なにを言っているのかと思うかもしれませんが、明朝体は基本縦書きのデザイン。しかし時代は横書き中心で、デジタル化でより横書きの中心になると思うので、根気よく横書き明朝体にトライする事は私的に意味があるのです。
ちょっと横道にそれましたね。
ビースト明朝では異体字といって字形切り替え機能を活用しています。これはAdobe Illustratorなどの「字形」パネルで文字の形を切り替えられる機能です。例えば上の画像のように「と」に3種類の形が切り替えられます。ロゴや見出しのデザインでは活躍すると思います。また横書きの時に、縦書きの「す」が使いたいなどという使い方も出来ます。
作例で言うと上の画像は2種類の「と」を使っています。
ビースト明朝は漢字が入ってません。その代わりに他の漢字と組み合わせしやすいです。明朝体以外にも教科書体との組み合わせ例も入れておきました。今回デザインにおいて明朝体でも、教科書体や楷書体のような、やわらかさと自然さが欲しいと考えて作っていたので「お」などは明朝体っぽくない骨組みになっています。今の人が書く文字(筆記具)に近いフォントを作るというのは、ずっと私のフォント制作のテーマなので。
また本文体は「カタカナ」が小ぶりに作られていることが多いのですが、ファンタジー小説や現代の本文体において、その必要は無いと判断して「ひらがな」と均等の大きさで作っています。その分、カタカナとひらがなのデザインの雰囲気を変えて、読みやすさを出したつもりです。
忘れそうでしたが、このフォントはカタカナの濁点の文字が印象強めにデザインされています。個人的にカタカナの濁点って「ガンダム」とか「ゴブリン」とかインパクト強めでカッコイイ表現の時が多いので。
本文体として、作ったつもりですが、世の中思った通りに使われるとは限らないのが常。横書きでは見出しやロゴでも使えるように工夫しました。実際はどうなのかは、そのうちにわかると思います。
かな部分の全体のグリフです。実は欧文と記号もこのフォントには入っているのですが、以前デザインした物のウェイト変更なので個人的にアピールしづらい…というわけで「かな」を推しています。
水色の部分が横書き、黄色の部分が縦書き、白色が異体字になります。「かな書体」なのに結構多いです。
そんなにたいへんじゃないと思っていつもの制作時間を見積もっていましたが、結局2倍くらい苦労しちゃいました。なのでリリース1ヶ月延びています。なので、年内にもう1フォント新作は厳しいかもしれないです。
まだ「ビースト明朝」の説明できていない部分もあると思うのですが、とりあえずフリーフォント版を使ってみて、できれば製品版を買って頂けると嬉しいです。